講演や取材等のお申し込み・お問い合わせの方は、こちらをご覧ください。
2020年 10月
日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
1 | 2 | 3 | ||||
4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 |
18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 |
25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 |
石見問屋の若旦那は、実は私の夫です。島根県知事も認めるナイスパートナーでござ います♪
「ウチらが愛するもんしか売らない!」がポリシーの石見極上お取り寄せサイト。
「消滅に向かう過疎地」を「極上の田舎」とするためにチョっとイカレタ仲間たちと 取り組んでます。
石見での田舎暮らしに関心のある方は必見。UIターンして来た人の紹介や空き家情 報など。
これからのまち作りの要は「地域のチーム化!」。結まーるプラスの活動のひとつで す。
2000年にスタートした石見地方の観光&定住情報満載サイト。この編集長もやってい ます。
〒699-4226
島根県江津市桜江町川戸駅舎内
TEL:0855-92-8015
FAX:0855-92-8016
E-mail:info@kawabemayumi.net
中国地方一の大河「江の川」は、旨いものの宝庫でもある。鮎はもちろんのこと、鰻にヤマメに手長海老、信じられないことに1メートル近いスズキまで遡上してくるという。そんな川の幸の中でも、特に美味しさを誇るのが「ツガニ」である。別名モクズガニとも言われるこの蟹は、食通に人気のあの「上海蟹」の親戚だという。島根県石見地方に引っ越してきてすぐに「江の川には上海蟹よりおいしいカニがいる」という噂を聞いた。食いしん坊でグルメを自認する私としては、ぜひその真偽を確かめたいと、カニ味噌がモミジ色になりおいしさが増すといわれる秋を待った。
ツガニは、日本各地の河川に生息しているが、江の川のものは格段においしいらしい。その訳は、川べりが自然のままに残された所が多く、しかも切り立った岩山に沿っているために、岩と岩の間から山水が湧き出しカニの腹も体も美しいのだと。また、大河ゆえにツガニが下る距離が長く、その間にいろいろなものを食べているからともいう。人間でも経験が豊富なほど、その味わいが増すというところだろうか。
さて、待ちに待ってようやく出会えたツガニは、もちろん生きたまま調理される。俊敏で、大きなハサミには毛がびっしりと生え、黒くてどっしりとして貫禄があった。しかし、見た目のゴツさからは想像もできないほど、塩茹でをしただけの身は、繊細で爽やかで実に奥深い味わいだった。特にメスの味噌は、芳醇かつ濃厚であり、甲羅に日本酒を注いで飲み干す時には「石見に来てよかった」と、思わず涙ぐむほどだった。上海蟹と比べて、どちらがおいしいと単純にはいえないが、食べた瞬間の感動の大きさでは、圧倒的に江の川のツガニに軍配が上がった。ただ残念なのは、一方の上海蟹は、それを目当てに外国まで行くグルメツアーが開催されるほどもてはやされているのに、この地にツガニを食べに来る人は少なく、鮎ほどの名物料理にもなってはいない。その謎を解こうというか、ただの食いしん坊から、改めて上海蟹で有名な料理店に出かけた。剥きにくい身は、剥きやすいように独特のカッティングがされており、調理法も老酒に漬け込んだり、煮たり蒸したり炒めたりと様々に五感で楽しませてくれた。石見での調理法といえば、塩茹でや味噌汁がほとんど。素材の旨さを味わうシンプルな調理法ではあるが、わくわくする様な楽しさには欠けるかもしれない。
「素材はおいしいが、料理は今ひとつ・・」ともいわれがちな石見の地。しかし、肝心の素材が天下一品ならば、石見風の調理法や美味しさの演出をすればまさに鬼に金棒。「ツガニづくしツアー」が開催され、全国から江の川のツガニを求めて、食通たちが訪れる日も近いかもしれない。
石見に秋の風が吹き始めた、おいしいツガニ達が中国太郎を下りだす。さて、今年は、釣り名人にこっそり教えてもらった「焼きツガニ」に挑戦してみようと思う。
※このエッセイは、本来「上海蟹より旨いツガニ」というものでしたが、掲載の都合上紙面では別のタイトルとなっています。
日時: 2007年02月06日 15:31
このエントリーのトラックバックURL:
https://www.kawabemayumi.net/cms/mt-tb.cgi/1417