かわべまゆみ ブログかわべまゆみカワベマユミ 河部真弓河部眞弓

こんにちは! かわべまゆみです。1999年に東京から島根県に夫のUターンにお付きIターンして参りました。
そこで待っていたのは、笑いが止まらないほどハッピーでエキサイティングな田舎暮らしの日々でした。

エッセイetc

◎講演録・やまなみ大学にて-3

「田舎は魅力の玉手箱・宝の山発掘体験記!」
~都市と田舎の交流を目指して~


一緒に住もうよ!定住促進「田舎暮らしツアー」


島根県は県を挙げて「定住」に力を入れていまして、「ふるさと島根定住財団」というところが「島根暮らし発見ツアー」という事業をやっております。これは、田舎暮らしに関心のある方を対象に、1回に20名ぐらいの定員で、2泊3日とか3泊4日で、島根に来てもらって見てもらおうというツアーです。定住財団からは1回のツアーで100万円の事業費が出ます。そして、参加者には、お一人から1万円いただきますので、20名ですと120万円になります。この予算で広告宣伝をして、宿泊や食費、体験費などにあてています。  
私は「いわみマインド」というグループに所属しておりまして、このツアーは、そのグループメンバーとしてやっています。これまでに、農業、神楽、カヌー、ダイビング、太鼓、地域興し、ベンチャービジネスなどをテーマに7回行い121名の方が参加されて、6名の方が定住され、現在希望者9名とありますが、その後にまた増えてますので、今10名以上の方が定住を希望しております。また、第二のふるさとのように交流を続けている方も5名ぐらいいます。
 会場内の掲示板にも貼っているんですが、桜江町だけでいうとこの5年間で70世帯150人が定住してくれています。桜江町は3600人ぐらいの人口です。定住される方のほとんどが、まだ若いうちに来られますので、本来ならば平均年齢は、これぐらい上がるだろうと予測されていた数値よりも年齢が下がったというような現象も起きております。詳しくはあちらに貼っておりますので、また見てください。
 そんな多くの方の中から、あるケースをご紹介したいと思います。これはNHKで去年の4月に行われた「田舎暮らしツアー」が紹介された時のものです。今からご紹介する稲垣さんご夫婦は「太鼓と神楽の体験」をテーマにしたツアーに参加されました。今は既に桜江町に住んでいらっしゃいます。このお二人がツアーに参加してこちらに定住するまでのスピードがとても早いんですね。2002年の4月にツアーがあり、3ヶ月後の7月にはもう桜江町に住まれていて12 月にはNHKのテレビ番組「昼どき日本列島」で、お二人が神楽を舞っているのまで紹介されたんです。今から1年前には、まだお二人は島根県がどこにあるのかも良く知らなかったと言っていました。(笑)
(ニュースのVTR放映)
これが去年の4月にありまして、その時、稲垣さんご夫婦は、ツアー参加者の一員として、昼は太鼓を習い、夜は地元の方とお酒を飲んでました。(笑)
(「NHK昼どき日本列島」を一部VTR放映)
 ということで、この先もけっこう面白いんですが、お時間もあるので途中までとさせていただきます。このお二人が、なぜ島根県桜江町に住まれることになったかと言うと、一つには、太鼓の体験があったんですが、決して太鼓を好きになって、太鼓をしたいから来られた訳ではないんです。その時の企画は、鹿賀大橋という大きな橋ができるので、橋の竣工式の時に、祝いの太鼓を叩いたり神楽を舞って盛り上げようというものでした。21世紀に架ける橋ということで、地元ではなくよそから来られた方に習ってもらって、披露してもらおうというものです。そこで「田舎暮らしツアー」を企画し、参加された方々が「神楽チーム」と「太鼓チーム」の2つに別れて特訓をしたのです。その時に、たまたまご主人が太鼓を教えてくれた人と話をする中で「実は、田舎暮らしをしたくて来たんですけど、こちらは仕事がありますかね」という話題になったそうです。それで、太鼓を教えている人が「君は一生懸命やっているし、よかったらうちに来ない」ということで、その方の会社に誘われたそうなんです。朝から晩まで必死に太鼓の練習とかやっていると人柄が出ますからね。
またツアー中には、地元の人たちとの懇親会みたいなこともやるんですが、その席でそのご主人が「一戸建てに住みたいんですけど、家ないですかね」と聞いたそうなんです。だいたい地元の人はあっても無いと言うんですね。それは、いざ貸すとなると、仏壇のことであるとか、親戚の手前とかいろいろあるからなんですが。ところが、ツアーの最後の日、ぎりぎりになって、あるおじさんが「あんた家探しておったね。実はあるんよ。」と言ってこられたそうです。数日お付き合いする中で「この人になら貸しても良い」って思っていただいたようなんですね。結果、さっきテレビで見ていただいた家にお二人で今、暮らされています。ただ、その家はもう何年も住んでいなかったので、全部彼らが自費で何百万かお金をかけて、畳や床も全部張りかえました。今では、とてもお洒落なペンションみたいになっているんです。このように、田舎暮らしを夢見て来られて、理想の田舎暮らしを実現された方もいらっしゃいます。
 さらに、その方が来られたことによって地域も変わってきています。稲垣さんの奥様は畑で野菜を作っているんですが、この前、私にある美味しいものを食べさせてくれたんです。「これ何?」と聞いたら彼女は「そうめん瓜」で作ったと言うんですね。「そうめん瓜」は、別に桜江の特産ではないんですけど、桜江町ではよくこれを「甘い酢物」にするんですね。石見地方は、実はお料理の味付けがすごく甘くて、その点だけは私も馴染めないところなんです。酢物も甘い、煮物も甘い、おまけにお酒も甘いんですよ。そういうこともあって、辛党の私には「そうめん瓜」に対する印象はあまりいいものではありませんでした。けれども、お料理好きの彼女は「そうめん瓜」という素材に出会ったときに、自分の知っているお料理の作り方とかいろんなノウハウでもって新しいお料理を創った訳なんです。そのメニューは私から見ると、素材も味付けもとってもグッドだったんですね。
今、桜江町にはたくさんのUIターンの方がいらっしゃっています。さっき150人とありましたけれども、私が知っているだけでもかなりの方が来られて一緒に交流しています。そしてみんなで「石見のこれは良いね」とか「これは美味しいね」とかの話で盛り上がります。それは、私が初めて来た時に、いろんな宝の山を見つけたような感じで、それぞれが自分なりの宝を見つけているんですね。一人一人それまでの経験や興味の範囲が違うから、見つける宝もまた微妙に違うんですね。だから、5、6人集まると宝の山になっちゃう訳です。そして、話をしているうちに、これをこうやったらビジネスになるねとか、これとあれを繋げるともっと良いよなんていう話がザクザク出てくる訳です。
 この集まりの場は「桜江サロン」の中で「定住サロン」として行っています。私がこの「定住サロン」をやろうと思ったのは、Iターンして来られても地元に溶け込めずに、いつの間にか帰って行く方もやはりかなりいらっしゃったからなんです。そういうケースを何回か見ましたので、そうならないようにと願って、少なくとも私たちが行っている「田舎暮らしツアー」で来ていただいた方は、絶対みんなで仲良くしようと思って、月に1回か2回ぐらい、駅舎なので昔の宿直室にしていた畳の部屋が6畳ぐらいあるんですが、そこで地元の旬の食べ物や美味しい物を持ち寄って、飲んだり食べたりしながら、ああだこうだと話しをしています。その中でこんなこともできる、あんなこともできるという可能性がいくつも生まれています。
それをヒントに今回も1月に「ベンチャービジネス探検隊」というテーマの「田舎暮らし体験ツアー」を実施しました。それまでの田舎暮らしツアーはどちらかというと、神楽とか、自然とか、カヌーとか、太鼓とかのテーマだったのですが、実はそれをやっているうちに、ある課題に行き詰りました。というのは、先ほど「定住希望者」の方がいるとお話しましたが、定住を希望しても定住できない人がやはりいるんですね。島根県としては定住を勧め、一方には定住したい人がいます。私たちのように「実際に住んで良かったからお勧めしますよ」とPRする人間もおります。だけど、定住できないのは、現実には仕事と住まいが中々見つからないからなんですね。
 住まいはともかく、仕事は日本全国どこも厳しい現状です。都会で就職がないのだから田舎でも難しいのは当然です。ただ、私はそんな中でも田舎にすごく可能性を感じています。この前も、ご主人がイギリス人のご夫妻が、桜江町に住みたいと来られて、お二人と一緒にいろいろと回ったんですが、その奥様が「田舎暮らしでは、仕事が一番心配だったけどそれは全然問題ないですね。」っておっしゃったんです。「どうしてですか?」と聞いたら、「だってビジネスチャンスがゴロゴロ転がっているじゃないですか。」って・・。私自身も常日頃から田舎にはビジネスチャンスがゴロゴロ転がっていると思っています。だから、あれもやりたい、これもやりたいということがいっぱいあります。たとえば、猪を地元の人は甘辛く煮ているけど、実は「猪ジャーキー」にしたら美味しいんじゃないかな、とかですね、他にも、これを商品化したらどうだろうとかいっぱいあるんです。でも一人では中々できません。でも、たくさんの仲間ができると「それなら私もやりたい」とか言う人が出てきたり、いろんなビジネスの可能性が広がって行くと思っております。

日時: 2007年01月30日 15:02

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