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こんにちは! かわべまゆみです。1999年に東京から島根県に夫のUターンにお付きIターンして参りました。
そこで待っていたのは、笑いが止まらないほどハッピーでエキサイティングな田舎暮らしの日々でした。

エッセイetc

◎中国新聞掲載エッセイ「極上の田舎を守る」

島根県石見地方出身の夫に付き合って、東京からIターンして以来、7度目の新年を迎えた。
夫と出会うまで、お恥ずかしいことに、私は石見という地名はおろか、島根県と鳥取県の区別さえつかず、津和野は山口県、山陰は暗くて保守的などと思い込んでいた。今思えば失礼な話だが、そんなお粗末な認識しか持ち合わせていなかったのだ。しかし、実際に石見で暮らしてみて、それはすべて、無知な私の思い込みであることに気付かされた。
まず、石見の人々は温かくて明るい。お天気の良い日が多く、青空は清々しい。また日本海、江の川、高津川、中国山地と豊かな自然に恵まれ、さらには、石見神楽をはじめ、石州和紙、石州瓦、石見焼、石見根付など、伝統的で固有の文化を大切に伝え守っている。何よりも、雑木の山々の彩りと、赤い甍の波が映しだす里山の風景は、まさに日本の原風景「極上の田舎」と呼ぶにふさわしいものである。おまけに地震や台風の被害も少ない。
このように、知れば知るほど、暮らせば暮らすほど、私は石見が大好きになっていった。夫に出会わなければ、この地を知らなかったかと思うと、ぞっとするほどだ。
しかし一方では、この地域にも、過疎化、少子高齢化の波が容赦なく押し寄せている。周辺を見渡せば、空き家や空き店舗、放置された耕作地が目立つ。このままでは、限界集落も増えていき、地域が衰退し、荒廃していくことが予測される。地域の荒廃を許せば、遠い昔より伝わる固有の歴史や伝統文化、それを育んだ豊かな自然環境、そして今を生きる子供や孫たちの故郷が消滅することにもつながりかねない。さらには、少子高齢化の先進地である、我が石見にそのような事態が起これば、日本各地の農山漁村の多くが、それに続く道をたどることもありうるのである。そして、農山漁村という生産の場の荒廃は、やがて都市という消費の場の衰退にも及ぶことだろう。
おおげさだと思われるかもしれないが、少子高齢化率が40%を超える中山間地で、日々暮らす私には、じわじわと、とんでもない事態が訪れつつあるような気がしてならないのだ。
だからこそ思う。この日本人の心の故郷ともいえる、懐かしくも美しい石見を、大切に守っていかなければならないと。そして、50年、100年先も、この地で暮らす人々が豊かで幸せであってほしいと。そのためには、たとえ微力であっても、何かせずにはいられない。幸いにも、志を同じくする仲間に恵まれ、私たちは、今動き出そうとしている。その取り組みが徒労であったとしても、衰退へ向かう地域を、ただ指をくわえて見ていることはできないのだ。
もちろん、夢と希望はいっぱいだ。なぜならば、ここは眠れる宝の山でもあり、これからの時代に人々が求めるものを、たくさん秘めていると思うから。だから、最高のビジョンを描き、最悪の事態に備えたい。
「荒廃に向かう過疎地」となるか、「極上の田舎」となるか、日本中には、私たちと同じ課題を抱える地域がこれから増えていくことだろう。しかし、私は決してあきらめてはいけないと思う。あきらめたその時こそが、本当の荒廃の始まりだと思うから。

かわべ・まゆみ 1957年生まれ。大分県出身。マーケティング・プランナー。定住・交流促進、地域ビジネス開発、空き家活用など、過疎地のまち作りに取り組む。国土交通省地域振興アドバイザー。江津市桜江町在住。

日時: 2007年02月13日 17:22

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